在宅で仕事をする日に、パジャマのまま昼を迎えてしまったことはありませんか。
別に誰にも見られていない。
作業もそれなりに進んでいる。
でも、どこか集中しきれない。エンジンがかからない。
「気のせいだろう」と思って、そのまま夕方を迎える。
このなんとなく違和感があった感覚には、ちゃんとした理由がありました。
着ている服が、脳の「モード」に影響している
心理学に「Enclothed Cognition(着衣認知)」という概念があります。
簡単に言うと、着ている服が、人の思考や集中力、行動に影響を与えうるというもの。
有名な実験では、白衣を着て作業をしたグループは、そうでないグループに比べて注意力テストの結果が向上しました。
白衣が「集中して、慎重に」という認知モードを引き出した、と研究者たちは考えています。
服を変えれば劇的にパフォーマンスが上がる、というほど単純な話ではありません。
でも、複数の研究を通じて、着ている服が自分の心理状態にじわじわと影響しているということ自体は支持されています。
そしてここで重要なのは、影響を与えるのは服の値段やブランドではなく、
自分がその服に対してどんな意味を感じているかだということ。
「この服を着ている自分はちゃんとしている」と思えるかどうかが、脳の状態を左右しているのです。
僕はこの研究を、つい最近まで知らなかった
正直に言うと、僕が「着衣認知」という言葉を知ったのは、ほんの最近のことです。
jocundを立ち上げたとき、論文を読んだわけでも、
心理学を勉強したわけでもありません。
ただ、自分自身の経験として感じていたことがありました。
コロナ禍のリモートワーク時代、パジャマのまま仕事をしていたら、どうにもスイッチが入らない。
かといって、お気に入りのシャツを着ると
「シワになるな」「汚したくないな」と気が休まらない。
ヨレた服を着ると、自分に対して「ちゃんとしていない」と感じる。
気を遣う服を着ると、今度はリラックスできない。
あの「どっちを着てもモヤモヤする」感覚がずっとあって、
jocundはそのモヤモヤを解消するために作ったブランドでした。
それから何年か経って、チームのメンバーが「これ、jocundがやってることそのものじゃないですか」とXでバズっていた着衣認知の記事を教えてくれました。
読んでみたら、本当にそうだった。
理屈は後から知ったけど、感覚としてはずっと前から気づいていたんだと思います。
「気分を上げる服」ではなく「気分を下げない服」
着衣認知を知って、改めて確信したことがあります。
世の中では「気分が上がる服を着よう」とよく言われます。
でも僕は、それだけでは足りないと思っています。
気分を上げてくれる服は、たしかにある。
でもそういう服には往々にして「気を遣う」というコストがついてくる。
シワ、汚れ、型崩れ。その不安がある限り、脳のどこかでノイズが鳴り続ける。
特別な日なら、多少気を遣ってもいい。 でも普段は毎日やってくる。
毎日のことだからこそ、気合いではなく「仕組み」で整える必要がある。
僕がjocundで目指したのは、テンションを上げる服ではなく、ノイズを消す服でした。
洗って干すだけで着られるから、ケアのストレスがない。
シルエットが整っているから、鏡を見たときに「大丈夫」と思える。
朝、クローゼットの前で迷わない。
着た瞬間に「今日の自分はちゃんとしている」と感じられる。
着衣認知が、何の努力もなくポジティブに働き始める。
jocundの服は「おしゃれになるための服」ではなく、
着るだけで脳のノイズを消す「環境設定」のようなものだと、今は思っています。
普段の質が、毎日を変えていく
大げさな話をしたいわけではありません。
ただ、朝起きて何気なく手に取った服が、その日の集中力や気分や、自分への評価にほんの少し影響しているとしたら。
その「何気なく手に取る一着」の質を変えることは、
服にお金を使うこととは少し違う意味を持つんじゃないかと思うのです。
クローゼットの前で迷う時間が減ること。
鏡を見て「まあいいか」ではなく、何も考えずに「これでいい」と手が伸びること。
特別な日の服は、みんなちゃんと選ぶ。
でも人生の大半は、特別じゃない日でできている。
その「普段」をどんな服で過ごすかが、毎日の自分をじわじわと変えていく。
明日の朝、クローゼットを開けたとき、少しだけ意識してみてください。
何も考えずに手に取った服を着て、鏡を見た瞬間。
「今日もこれか…」と思うのか、「よし、これでいこう」と思えるのか。
もし前者が続いているなら、変えるべきは気合いの量ではなく、手に取る一着の方かもしれません。
今回のきっかけになった、Xでバズっていた記事がこちらです。
着衣認知についてとてもわかりやすくまとまっているので、ぜひ読んでみてください!














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人生の大半は「普段」でできている -jocundを立ち上げた理由と想い-